薬局ヒヤリ・ハット共有すべき事例(2022年No3)
交付後の説明間違い
【事例詳細】
ミノサイクリンを交付した患者から、片頭痛があるため市販薬バファリンEXを服用してよいかと電話で問い合わせがあった。バファリンEXにロキソプロフェンが含まれていることを確認し、患者へ併用は問題ないと回答した。電話を切ったのち電子薬歴の併用薬に登録したところ、水酸化アルミニウムが含まれており、ミノサイクリンと相互作用があることが分かった。患者に電話して、服用間隔を2時間以上あけるように伝えた。
【背景・要因】
当薬局で取り扱う一般用医薬品の種類が少なく、販売する機会があまりないため、知識が不足していた。
【薬局での取り組み】
一般用医薬品との飲み合わせを尋ねられた際は、主成分だけでなく有効成分や添加物まで確認する。電子薬歴に併用薬を登録し、成分の重複・相互作用をチェックする。バファリンにはさまざまな種類があるため正確な商品名を聞き取る。
【機構からのポイント】
電子薬歴の重複や相互作用を検索・表示する機能は有用である。
疑義照会・処方医への情報提供、剤形
【事例詳細】
初めて来局の患者に【般】オキシコドン錠10mg 1回1錠1日2回が処方された。オキシコドン錠10mg「第一三共」であれば1日4回投与なので疑義照会したところ、処方医は徐放錠を処方するつもりであったことがわかり、【般】オキシコドン徐放錠10mg(乱用防止製剤)1回1錠1日2回に変更になった。患者にオキシコドン徐放錠10mgNX「第一三共」を交付した。
【推定される要因】
処方医は普通錠と徐放錠があり、それぞれに乱用防止製剤があることを把握してなかったと推測される。
【薬局での取り組み】
それぞれ用法が異なることを薬局内で共有した。
【機構からのポイント】
NXがついている乱用防止製剤は主成分のオキシコドンの他に、麻薬拮抗剤のナロキソンを含有している。経口投与した場合、ナロキソンは肝初回通過効果による速やかな代謝を受け作用を発現せず、オキシコドンを阻害することはないが、不正な方法として錠剤を溶かして静脈内注射した場合はオキシコドンに拮抗する。
疑義照会・処方医への情報提供、投与量
【事例詳細】
処方医は小児の患者にリスペリドンとして0.5mg(リスパダール細粒1% 0.05g)を処方するつもりであったが、オーダリングシステムに0.5gと入力し処方箋が発行された。薬剤師は処方箋通りに薬剤を調製し、家族に交付した。患者が2回服用したのちに傾眠の症状がみられたため、受診したところ過量投与が発覚し、緊急入院となった。
【推定される要因】
調剤時、1人薬剤師であり通常より少ない人数で業務を行っていた。薬局にリスパダール細粒1%の在庫はなく、薬剤を急いで調達するため、処方監査より発注業務を優先して行った。患者の家族が薬剤を取りに来るまで時間がなく焦っていた、処方医は専門医だったため疑いをもたなかった。
【薬局での取り組み】
薬剤が不足した場合は、処方医が意図する薬物療法への影響の有無を検討したうえで、納品後に配送するか、再来局してもらう。
【機構からのポイント】
10倍量が誤って処方された事例である。散剤の投与量間違いの報告は後を絶たない。
調剤時に薬剤が不足した場合は、患者を待たせている状況から焦りが生じ、通常の業務手段を遵守できないことがある。正しい調剤ができるよう無理のない業務手順を定めることが有用である。