さくっと新薬

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薬局ヒヤリ・ハット共有すべき事例(2022年No9)

【調剤】薬剤取り違え

【事例詳細】

メトホルミン錠250mgMT 1日9錠 1日3回 30日分が処方された。270錠を調製するところ、メトホルミン錠250mgMT「三和」70錠とメトグルコ錠250mg 200錠を取り揃えて交付。患者からの連絡で発覚。

【背景・要因】

「三和」70錠を取り揃えた後、誤って隣のメトグルコの100錠包装を2箱取り揃えた。「三和」をポリムス(調剤監査支援システム)で読み込んだため、エラーは表示されなかった。鑑査者は「三和」70錠に含まれる細かい端数に気を取られ、200錠の確認が不十分であった。

【薬局での取り組み】

両剤の外観が似ているため、あえて隣に配置していたが、間違いが起きたため、メトグルコ錠250mgを引き出しに移動した。

【機構からのポイント】

調剤監査支援システムでは通常、PTPや包装などのどれか一か所のバーコードを読み取るため、本事例のように取り違えた薬剤が混在しており、正しいものを読み取った場合はエラーが表示されない。最終的には人の目で確認する必要がある。

あくまで業務の補助と考え、システムの仕様や特徴を理解したうえで適切に運用することが重要。

【疑義照会】投与量

【事例詳細】

ニュープロパッチ9mg 1日2枚が処方されていたパーキンソン病の患者に、切り替えで春ろぴてーぷ32mg 1日2枚が処方された。添付文書を確認し、切り替え時の投与量として不適切と判断し疑義照会をしたところ、ハルロピテープ32mg 1日1枚へ変更になった。

【背景・要因】

処方医は、薬剤名のみを変更し、1日量の修正を行わなかったと考えられる。

【薬局での取り組み】

同効剤へ切り替える際は、添付文書やIFなどを見て、用法・用量が妥当であるかを確認する。

【機構からのポイント】

ニュープロパッチ、ハルロピテープは経皮吸収型の非麦角系ドパミン作動薬である。添付文書やインタビューフォームに切り替えの注意が掲載されている。

【疑義照会】病態禁忌

【事例詳細】

医療機関Aの眼科で緑内障治療中の患者に、アイラミドが追加になった。薬剤師は患者が2年前に医療機関Bで左腎摘出し、eGFR25.5であることを聴取していた。アイラミドは重篤な腎障害のある患者に禁忌であるため、医療機関Bに現在の数値を確認したところ、大きな変化はなく、腎機能が高度に低下した状態であった。眼科医に情報提供したところアイファガンへ変更になった。

【背景・要因】

眼科医が患者の腎機能等の検査値を把握していなかったと考えられる。

【薬局での取り組み】

患者の検査値を入手した場合は薬歴に記録する。また、添付文書の禁忌に「重篤な腎障害」あるいは「重篤な肝障害」などの記載がある薬剤が処方された際は、最新の検査値を確認するよう努める。

【機構からのポイント】

安全で有効な薬物療法を行うため、患者から現病歴・既往歴・併用薬、必要に応じてその他情報を聴取して、処方内容の妥当性や副作用発現の可能性を検討することが重要である。