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医薬品・医療機器等安全性情報(No.387)

医薬品副作用被害救済制度は国家試験でもほぼ確実に出題されますね。

どんな事例が認められるか・認められないか、どんな手当が支給されるか。など。問題作りやすい。

医薬品副作用被害救済制度

認められた事例

(1)インフルエンザワクチンにより脊髄炎が生じ、医療費・医療手当が給付された

(2)アセトアミノフェン錠により中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)が生じ、医療費・医療手当・遺族年金・葬祭料が支給された

(3)スルバクタム・セフォペラゾンNa静注用によりアナフィラキシーショック及び続発した低酸素脳症が生じて障害となり、医療費・医療手当・障害年金が給付された(薬品一部略)

(4)一般用医薬品により尿閉及び続発した尿路感染が生じ、医療費・医療手当が給付された

認められなかった事例

ラミクタール(ラモトリギン)関連

ラミクタールはH20.10の承認時より皮膚障害に関して、用法用量を遵守するよう注意喚起がなされていた。しかしながらその後も重篤な皮膚障害の報告が続いていたためH24.1に医薬品の適正使用のお願い。H27.2に安全性速報(ブルーレター)が発出されている。R1.10に医薬品の適正使用のお願いが再度発出されている。

(1)ラモトリギン錠を気分障害に用い、グルクロン酸抱合を誘導しない薬剤を併用する処方において、初回から1日75mgで開始したため

(2)ラモトリギン錠をてんかんに用い、単独で1日25mgで開始していたが、最初の2週間は1日1回25mgとすべきところ、6日後に50mgに増量されたため

必要な検査が実施されていない事例

(1)ケアラム(イグラチモド)を25mgで開始し、投与開始2週間後に血液検査を実施、17日後に1日50mgに増量されたが、その後、肝機能障害が認められるまでの約30日間は血液検査が実施されていなかったため

(2)慢性腎臓病、血清Ca値上昇の既往がある高齢患者において、eGFR低下・sCr値の上昇傾向が認められていたにもかかわらず、高Ca血症による急性腎不全と診断されるまでの約2年間、血清Ca値の測定をせず、エディロール(エルデカルシトール)の投与を継続したため

「禁忌」患者に使用された事例

リウマトレックス使用開始から約5年半後に非B型非C型肝硬変と診断され、その後も肝不全や腹水貯留が出現するも約2年継続されていたため

医師の指示によらず、自己判断で服用した事例

ジスロマック、ディレグラ、新ジキニン顆粒による急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)となったが、ジスロマックは以前処方された残薬を自己判断で服用していたため

副作用既往歴のある患者に、同じ医薬品が投与された事例

ナトリックスにより低Na血症を生じた既往があったが、血中Na濃度を測定することなくナトリックスが処方されて、低Na血症が再度生じているため

アレルギー反応に伴う急性冠症候群=コーニス症候群について

コーニス症候群と考えられる国内症例が集積しており、セフォペラゾン・スルバクタムの使用上の注意喚起に追記したが、R3.10時点で国内外のガイドライン等での定義が確認できないこと、国内において認知度が高くないと判断したことから、アレルギー反応に伴う急性冠症候群と記載した。

疾患概念

症候群としては標題の通り。タイプが3つに分類される。

タイプⅠ:もともと狭窄のない冠動脈に攣縮をきたすもの。

タイプⅡ:もともと存在していた冠動脈プラークが破裂し急性冠症候群をきたすもの。

タイプⅢ:冠動脈ステント留置例においてステント内血栓症をきたすもの。

疫学・原因・診断・治療

これらは気にするほどの記述はなかった。アレルギー反応のため。

・認知度が低いため、文献報告数は少ない可能性がある。

・アレルギー反応の原因となるものはいずれもコーニス症候群を生じる可能性がある。

・確立した診断基準はない。

・アレルギー反応の治療と急性冠症候群の治療を同時に行う。